固定報酬とは?金額の決定方法や税務上の取り扱いなどを解説

この記事でわかること
- 固定報酬の定義
- 固定報酬の金額の決定方法
- 固定報酬の税務上の取り扱い
著者プロフィール

O f All株式会社
代表取締役
福地 悠太
主に上場企業に対するストック・オプションの設計・導入支援、エクイティ・ファイナンスに関するアドバイザリー業務、M&Aアドバイザリー業務等に従事。証券株式会社を経て、再びコンサルティング業に戻り、株式報酬制度の設計・導入支援、役員報酬制度の設計、指名報酬委員会の設置・運用に係る助言業務等を行う。
近年では、役員報酬や株式報酬制度を取り巻く環境が変化してきたこともあり、役職報酬制度設計の見直し・作成のニーズが高まっています。
本記事では役員報酬区分のうち、「固定報酬」について解説していきます。
役員報酬制度について、詳しく知りたいという方は以下の記事をご確認下さい。
🔗役員報酬制度とは?全体像から設計方法・決定の流れやポイントまで解説
また、役員報酬区分のうち、「業績連動報酬」について、詳しく知りたいという方は以下の記事をご確認下さい。
🔗業績連動報酬とは?金額の決定方法や税務上の取り扱いなどを解説
固定報酬とは
固定報酬とは役員に支払われる報酬のうち、毎事業年度ごと予め定めた額を、月次報酬として定期的に支給する基本的な報酬で、定めた一定額の金銭が支給されます。定期同額給与として損金算入するため、原則的に毎事業年度開始から3ヶ月以内にその金額を決定する必要があります。
固定報酬の金額の決定方法
固定報酬の金額の決定方法は、多くの場合、株主総会で役員報酬の年間上限額を定め、その上限額以内で代表取締役、取締役会または報酬委員会等が具体的な報酬額の決定を行います。なお、使用人兼務役員がいる場合、役員報酬と使用人給与は明確に分ける必要があります。
また、その金額の決定にあたっては、主に会社規模などに基づいたベンチマーク企業やピアグループのデータとの比較などを通じて金額の適切性などを議論することが推奨されます。
上場企業の固定報酬額データが知りたい方はこちらのデータベースをご覧ください。
固定報酬の税務上の取り扱い
報酬の支給対象となる役員には、その所得の額に応じて給与所得税と住民税が課されます。
また、支払った法人側は「定期同額給与」の要件を満たすことでその報酬額を損金算入することが可能です。
定期同額給与の要件
要件の概要 |
---|
・1ヶ月以下の一定期間ごとに同額が支払われること ・事業年度開始から3ヶ月以内に支給される金額が決定していること |
報酬額の変更
上記のとおり、原則としては毎事業年度開始から3ヶ月以内のみ金額の変更が可能となりますが、例外的に変更することが認められるケースがあります。
まず、減額が認められるケースとしては、以下が挙げられます。
- 会社業績が大幅に悪化した場合
- 役員が懲戒処分を受けた場合
- 役員が降格した場合
- 傷病等により業務を行うことが困難になった場合
一方、増額が認められるケースとしては、以下が挙げられます。
- 職責変更によって役員の昇格があった場合
ただし、職責変更によって増加した額が適切であるかなど論点は残るため、該当する場合であっても事業年度開始3ヶ月以降の役員報酬の増額は、慎重な検討が必要になります。
まとめ
固定報酬は役員報酬の基盤部分であり、その金額の決定は非常に重要となります。所定のスケジュールで適切な手続きを経て決定をする必要があり、報酬改定のスケジューリングをする上でも注意しなければなりません。
役員報酬の相場の情報をお探しなら
役員報酬の相場等をお探しなら弊社が提供する「役員報酬データベース」を一度、ご確認下さい。
本データベースは有価証券報告書等にて公開されているデータをもとに網羅的に作成しており、下記のような情報をご確認いただけます。
- 取締役・社外役員・監査役(監査等委員)の「報酬等の総額の平均」
- 取締役・社外役員・監査役(監査等委員)の「固定報酬・業績連動報酬の総額の平均」
- 取締役・社外役員・監査役(監査等委員)の「株式報酬の総額の平均」
- 取締役・社外役員・監査役(監査等委員)の「売上に対する報酬総額の割合」
- 取締役・社外役員・監査役(監査等委員)の「営業利益に対する報酬総額の割合」
- 報酬における構成比率データ
「役員報酬制度設計 解説ガイドブック」に体系的にまとめています
役員報酬について、基本的なポイントから各制度についての詳細まで、体系的にわかりやすくまとめた「役員報酬制度設計 解説ガイドブック」を無料配布しております。
無料でダウンロード可能ですので、役員報酬について情報収集されている方は、一度、下記からご確認下さい。

役員報酬制度・株式報酬制度のお悩みをご相談ください
ここまで、固定報酬について、金額の決定方法や税務上の取り扱いなどを解説してきました。
本記事の内容が役員報酬制度設計などを検討している皆さまの参考になれば幸いです。
O f All株式会社では、役員報酬制度の設計・導入はもちろん、株式報酬制度、ストック・オプションの設計・導入までご支援しております。未上場/上場、どのフェーズでも柔軟にお応え可能です。
役員報酬・株式報酬制度についてお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。
また、下記にて弊社の会社案内資料も配布しております、ご参考までにご確認いただけましたら幸いです。お急ぎの方はオンラインでの無料相談も承っておりますので、ぜひご活用ください。