役員報酬の相場を役職別・市場区分・業種別に解説

この記事でわかること
- 役員報酬の役職ごと(取締役・社外役員・監査役)の全体の傾向と相場
- 役員報酬の役職ごと(取締役・社外役員・監査役)の市場区分の相場
- 役員報酬の役職ごと(取締役・社外役員・監査役)の業種別の相場
著者プロフィール

O f All株式会社
代表取締役
福地 悠太
主に上場企業に対するストック・オプションの設計・導入支援、エクイティ・ファイナンスに関するアドバイザリー業務、M&Aアドバイザリー業務等に従事。証券株式会社を経て、再びコンサルティング業に戻り、株式報酬制度の設計・導入支援、役員報酬制度の設計、指名報酬委員会の設置・運用に係る助言業務等を行う。
役員報酬制度の設計を検討していく際に、気になるポイントとして挙げられるのが他社の相場や全体の傾向だと思います。
本記事では上場企業の役員報酬における全体の傾向や各市場区分(プライム市場・スタンダード市場・グロース市場)や業種(ここでは情報・通信業、サービス業・小売業)の各役職(取締役・社外役員・監査役(監査等委員))の相場をご紹介します。
役員報酬制度について、詳しく知りたいという方は以下の記事をご確認下さい。
🔗役員報酬制度とは?全体像から設計方法・決定の流れやポイントまで解説
役員報酬の傾向(市場全体)
まずは、2024年における市場全体の役員報酬の傾向を見ていきます。
今回取り上げるデータは各区分において、「報酬等の総額」「固定報酬の総額」「業績連動報酬の総額」「株式報酬の総額」「1人当たりの報酬総額」「1人当たりの固定報酬」「売上に対する報酬割合」「営業利益に対する報酬」を平均値で出したものを紹介していきます。
なお、今回使用するデータは「🔗役員報酬データベース」をもとに作成しています。
役員報酬データベースの留意点は下記をご確認ください。
- 本データベースは、「有価証券報告書」等の開示書類を参照し作成しています。
- 報酬における各項目は「役員の報酬等」に記載されている提出会社における報酬の内容を参照しています。
- 本データベースにおける「社外役員」とは「社外取締役(監査等委員含む)」「社外監査役」「その他社外役員」を指します。
- 本データベースにおける「監査役・監査等委員」とは「監査役」「監査等委員である社内取締役」を指します。
- 「取締役」と「執行役」を兼任している場合は「執行役」を含めた報酬金額等を「取締役」として一部計算しています。
- 有価証券報告書等において取締役と社外取締役が統合記載されている場合等、役員毎に正確な分類ができないデータも含まれています。
- 売上に対する報酬の割合等の一部異常値と判断したデータに関しては全体の平均値が実態から乖離してしまう可能性があるため、除外しています。
- データ取得の際にフィルタリング・クレンジングを実施していますが名称のブレ等によって正確に反映できていない場合がございます。
- 調査・作成に関しては細心の注意を払っておりますが、内容及び情報の正確性等を必ずしも保証するものではございません
- 本記事では2024年1月~2024年12月に提出されたデータを使用しています。
2024年における上場企業 役員報酬の平均データ
2024年における上場企業の役職ごとの役員報酬の平均データは下記の通りとなりました。
対象企業数は「3,195社」で、業績連動報酬の導入割合は「51.33%」、株式報酬の導入割合は「53.85%」となりました。
業績連動報酬・株式報酬は近年の法改正などの後押しもあり、上場企業全体で導入割合が高まってきています。
項目(全て平均値) | 取締役 | 社外役員 | 監査役 監査等委員 | 全役職 |
---|---|---|---|---|
報酬等の総額 | ¥193,621,023 | ¥31,730,925 | ¥13,958,053 | ¥239,310,001 |
固定報酬の総額 | ¥123,937,551 | ¥30,958,341 | ¥13,648,294 | ¥168,544,187 |
業績連動報酬の総額 | ¥38,155,458 | ¥266,112 | ¥201,670 | ¥38,623,240 |
株式報酬の総額 | ¥28,090,330 | ¥382,840 | ¥46,879 | ¥28,520,049 |
1人当たりの報酬総額 | ¥35,824,407 | ¥5,713,384 | ¥13,041,592 | ¥19,217,339 |
1人当たりの固定報酬 | ¥23,648,864 | ¥5,577,082 | ¥12,701,761 | ¥14,009,650 |
売上に対する報酬総額の割合 | 0.83% | 0.17% | 0.04% | 1.05% |
売上に対する固定報酬総額の割合 | 0.71% | 0.17% | 0.04% | 0.92% |
営業利益に対する報酬総額の割合 | 28.94% | 5.77% | 2.61% | 37.43% |
営業利益に対する固定報酬総額の割合 | 26.46% | 5.54% | 2.5% | 34.61% |
2024年における上場企業 役員報酬の平均データ
続いて、上場企業の役職ごとの役員報酬の構成比率データを見ていきます。
構成要素としては「固定報酬」「株式連動報酬」「株式報酬」「退職慰労金等」「その他」となっています。
取締役の報酬構成については、業績連動報酬・株式報酬で全体の3分の1程度を占めており、業績および企業価値と連動する報酬体系を導入する企業が増えていることが見て取れます。

項目 | 固定報酬 | 業績連動報酬 | 株式報酬 | 退職慰労金等 | その他 |
---|---|---|---|---|---|
取締役 | 64.21% | 19.77% | 14.55% | 1.20% | 0.27% |
社外役員 | 97.67% | 0.84% | 1.21% | 0.24% | 0.04% |
監査役 監査等委員 | 97.74% | 1.44% | 0.34% | 0.48% | 0% |
全役職 | 70.61% | 16.18% | 11.95% | 1.03% | 0.22% |
役員報酬の傾向(東証グロース)
続いて、「東証グロース」市場に焦点を当てて役員報酬の傾向を見ていきます。
「東証グロース」における役員報酬の平均データ
2024年「東証グロース」における役員報酬の平均データは全体で見ると下記の通りとなりました。
対象企業数は「391社」で、業績連動報酬の導入割合は「14.58%」、株式報酬の導入割合は「32.99%」となりました。
他市場と比べて業績連動報酬・株式報酬の導入割合は低く、IPO前の報酬体系を継続している企業が多いものと考えられます。
項目(全て平均値) | 取締役 | 社外役員 | 監査役 監査等委員 | 全役職 |
---|---|---|---|---|
報酬等の総額 | ¥75,742,113 | ¥17,062,248 | ¥2,369,875 | ¥95,174,235 |
固定報酬の総額 | ¥67,817,491 | ¥16,698,509 | ¥2,331,864 | ¥86,847,864 |
業績連動報酬の総額 | ¥2,790,844 | ¥34,269 | ¥13,555 | ¥2,838,668 |
株式報酬の総額 | ¥4,518,550 | ¥313,509 | ¥14,509 | ¥4,846,568 |
1人当たりの報酬総額 | ¥21,693,389 | ¥3,805,591 | ¥6,386,359 | ¥11,271,442 |
1人当たりの固定報酬 | ¥19,193,073 | ¥3,727,019 | ¥6,273,768 | ¥10,255,534 |
売上に対する報酬総額の割合 | 2.29% | 0.56% | 0.07% | 2.92% |
売上に対する固定報酬総額の割合 | 2.12% | 0.55% | 0.07% | 2.74% |
営業利益に対する報酬総額の割合 | 45.28% | 11.85% | 1.82% | 59.35% |
営業利益に対する固定報酬総額の割合 | 41.95% | 11.67% | 1.81% | 55.82% |
「東証グロース」における役員報酬の構成比率データ
続いて、「東証グロース」における上場企業の役職ごとの役員報酬の構成比率データを見ていきます。
構成要素としては「固定報酬」「株式連動報酬」「株式報酬」「退職慰労金等」「その他」となっています。
取締役の報酬構成を見ると、グロース市場では業績連動報酬・株式報酬の導入が進んでいないことがより顕著になります。その背景は、まだ利益水準があまり高くないことや流通株式時価総額・比率の問題で役員への株式付与がしづらいといったことが考えられます。

項目 | 固定報酬 | 業績連動報酬 | 株式報酬 | 退職慰労金等 | その他 |
---|---|---|---|---|---|
取締役 | 89.60% | 3.69% | 5.97% | 0.75% | 0% |
社外役員 | 97.86% | 0.20% | 1.84% | 0.10% | 0% |
監査役 監査等委員 | 98.41% | 0.57% | 0.61% | 0.41% | 0% |
全役職 | 91.30% | 2.98% | 5.09% | 0.62% | 0% |
役員報酬の傾向(東証スタンダード)
続いて、「東証スタンダード」市場に焦点を当てて役員報酬の傾向を見ていきます。
「東証スタンダード」における役員報酬の平均データ
2024年「東証スタンダード」における役員報酬の平均データは全体で見ると下記の通りとなりました。
対象企業数は「1,341社」で、業績連動報酬の導入割合は「41.15%」、株式報酬の導入割合は「39.82%」となりました。
安定した利益と十分な社内体制を整えている企業が多いためか、業績連動報酬・株式報酬の導入が一定程度進んでいます。
項目(全て平均値) | 取締役 | 社外役員 | 監査役 監査等委員 | 全役職 |
---|---|---|---|---|
報酬等の総額 | ¥113,751,567 | ¥17,270,565 | ¥8,272,097 | ¥139,294,229 |
固定報酬の総額 | ¥89,240,326 | ¥16,845,860 | ¥7,883,921 | ¥113,970,107 |
業績連動報酬の総額 | ¥13,903,357 | ¥209,040 | ¥217,119 | ¥14,329,517 |
株式報酬の総額 | ¥7,309,814 | ¥61,618 | ¥43,285 | ¥7,414,717 |
1人当たりの報酬総額 | ¥23,343,975 | ¥3,927,780 | ¥9,264,128 | ¥13,424,143 |
1人当たりの固定報酬 | ¥18,298,144 | ¥3,814,834 | ¥8,820,674 | ¥11,009,720 |
売上に対する報酬総額の割合 | 0.92% | 0.16% | 0.06% | 1.14% |
売上に対する固定報酬総額の割合 | 0.78% | 0.16% | 0.06% | 1% |
営業利益に対する報酬総額の割合 | 50.1% | 9.23% | 5.2% | 64.74% |
営業利益に対する固定報酬総額の割合 | 46.47% | 8.78% | 4.95% | 60.41% |
「東証スタンダード」における役員報酬の構成比率データ
続いて、「東証スタンダード」における上場企業の役職ごとの役員報酬の構成比率データを見ていきます。
構成要素としては「固定報酬」「株式連動報酬」「株式報酬」「退職慰労金等」「その他」となっています。
導入割合に比して、報酬構成比でみると業績連動報酬・株式報酬の割合は控えめであり、特に株式報酬の総額に占める割合はグロース市場の平均と大差がありません。株式報酬は自社の価値(株価)が上がるほど報酬として価値も増える仕組みのため、自社の株価に対してあまり強気でない企業が多いことを表しているかもしれません。

項目 | 固定報酬 | 業績連動報酬 | 株式報酬 | 退職慰労金等 | その他 |
---|---|---|---|---|---|
取締役 | 78.57% | 12.24% | 6.44% | 2.73% | 0.02% |
社外役員 | 97.71% | 1.21% | 0.36% | 0.72% | 0% |
監査役 監査等委員 | 95.34% | 2.63% | 0.52% | 1.5% | 0.01% |
全役職 | 81.94% | 10.3% | 5.33% | 2.41% | 0.02% |
役員報酬の傾向(東証プライム)
続いて、「東証プライム」市場に焦点を当てて役員報酬の傾向を見ていきます。
「東証プライム」における役員報酬の平均データ
2024年「東証プライム」における役員報酬の平均データは全体で見ると下記の通りとなりました。
対象企業数は「1,377社」で、業績連動報酬の導入割合は「72.51%」、株式報酬の導入割合は「75.22%」となりました。
潤沢な利益、十分な社内の管理部門体制が整う企業が大半であり、業績連動報酬・株式報酬の導入割合の高さにもそれが表れています。
項目(全て平均値) | 取締役 | 社外役員 | 監査役 監査等委員 | 全役職 |
---|---|---|---|---|
報酬等の総額 | ¥310,256,197 | ¥51,000,494 | ¥23,062,468 | ¥384,319,158 |
固定報酬の総額 | ¥175,907,070 | ¥49,756,859 | ¥22,758,896 | ¥248,422,825 |
業績連動報酬の総額 | ¥73,467,194 | ¥394,301 | ¥235,125 | ¥74,096,619 |
株式報酬の総額 | ¥56,573,399 | ¥730,948 | ¥62,182 | ¥57,366,529 |
1人当たりの報酬総額 | ¥52,956,130 | ¥8,145,623 | ¥17,471,263 | ¥27,585,130 |
1人当たりの固定報酬 | ¥30,520,493 | ¥7,968,237 | ¥17,197,262 | ¥18,239,926 |
売上に対する報酬総額の割合 | 0.31% | 0.06% | 0.02% | 0.39% |
売上に対する固定報酬総額の割合 | 0.22% | 0.06% | 0.02% | 0.3% |
営業利益に対する報酬総額の割合 | 4.64% | 0.97% | 0.33% | 5.95% |
営業利益に対する固定報酬総額の割合 | 3.44% | 0.95% | 0.33% | 4.72% |
「東証プライム」における役員報酬の構成比率データ
続いて、「東証プライム」における上場企業の役職ごとの役員報酬の構成比率データを見ていきます。
構成要素としては「固定報酬」「株式連動報酬」「株式報酬」「退職慰労金等」「その他」となっています。
取締役の報酬構成比率は固定報酬が約6割、業績連動と株式報酬を併せた変動報酬が約4割とバランスの取れた割合となっています。

項目 | 固定報酬 | 業績連動報酬 | 株式報酬 | 退職慰労金等 | その他 |
---|---|---|---|---|---|
取締役 | 56.92% | 23.77% | 18.31% | 0.63% | 0.38% |
社外役員 | 97.65% | 0.77% | 1.43% | 0.07% | 0.08% |
監査役 監査等委員 | 98.6% | 1.02% | 0.27% | 0.11% | 0% |
全役職 | 64.85% | 19.34% | 14.97% | 0.52% | 0.31% |
役員報酬の傾向(情報・通信業)
ここまでは市場区分に焦点を当てて解説してきましたが、続いては業種に焦点を当てて解説していきます。今回は「情報・通信業」「サービス業」「小売業」の3つに絞ってご紹介いたします。
まずは、「情報・通信業」に焦点を当てて役員報酬の傾向を見ていきます。
「情報・通信業」における役員報酬の平均データ
2024年「情報・通信業」における役員報酬の平均データは全体で見ると下記の通りとなりました。
対象企業数は「441社」で、業績連動報酬の導入割合は「32.95%」、株式報酬の導入割合は「46.94%」となりました。
新興系の企業が多く属する業種であるため、IPO後の報酬体系の整備まで至っていない企業が一定数いることで、業績連動報酬・株式報酬の導入割合が全体平均よりはやや低い水準にとどまっていると考えられます。
項目(全て平均値) | 取締役 | 社外役員 | 監査役 監査等委員 | 全役職 |
---|---|---|---|---|
報酬等の総額 | ¥151,674,898 | ¥26,373,116 | ¥7,111,669 | ¥185,159,683 |
固定報酬の総額 | ¥98,475,034 | ¥25,736,930 | ¥6,862,290 | ¥131,074,254 |
業績連動報酬の総額 | ¥18,191,249 | ¥251,510 | ¥130,907 | ¥18,573,667 |
株式報酬の総額 | ¥32,655,660 | ¥288,184 | ¥77,444 | ¥33,021,288 |
1人当たりの報酬総額 | ¥33,483,497 | ¥4,955,957 | ¥10,772,805 | ¥17,334,608 |
1人当たりの固定報酬 | ¥22,930,026 | ¥4,831,437 | ¥10,511,752 | ¥12,770,976 |
売上に対する報酬総額の割合 | 1.7% | 0.38% | 0.07% | 2.15% |
売上に対する固定報酬総額の割合 | 1.53% | 0.37% | 0.06% | 1.97% |
営業利益に対する報酬総額の割合 | 102.39% | 20.45% | 9.96% | 134.01% |
営業利益に対する固定報酬総額の割合 | 98.95% | 19.17% | 9.41% | 128.68% |
「情報・通信業」における役員報酬の構成比率データ
続いて、「情報・通信業」における上場企業の役職ごとの役員報酬の構成比率データを見ていきます。
構成要素としては「固定報酬」「株式連動報酬」「株式報酬」「退職慰労金等」「その他」となっています。
導入割合に比して変動報酬、特に株式報酬の占める割合が高くなっているのが特徴的です。高い成長性を志向する企業が多い業種であることを示していると考えられます。

項目 | 固定報酬 | 業績連動報酬 | 株式報酬 | 退職慰労金等 | その他 |
---|---|---|---|---|---|
取締役 | 64.99% | 12.01% | 21.55% | 0.98% | 0.47% |
社外役員 | 97.68% | 0.95% | 1.09% | 0.17% | 0.1% |
監査役 監査等委員 | 96.65% | 1.84% | 1.09% | 0.42% | 0% |
全役職 | 70.86% | 10.04% | 17.85% | 0.85% | 0.4% |
役員報酬の傾向(サービス業)
続いて、「サービス業」に焦点を当てて役員報酬の傾向を見ていきます。
「サービス業」における役員報酬の平均データ
2024年「サービス業」における役員報酬の平均データは全体で見ると下記の通りとなりました。
対象企業数は「413社」で、業績連動報酬の導入割合は「27.36%」、株式報酬の導入割合は「42.62%」となりました。
株式報酬の導入割合が比較的高くなっています。
項目(全て平均値) | 取締役 | 社外役員 | 監査役 監査等委員 | 全役職 |
---|---|---|---|---|
報酬等の総額 | ¥130,373,799 | ¥22,172,506 | ¥5,526,874 | ¥158,073,179 |
固定報酬の総額 | ¥101,600,230 | ¥21,924,354 | ¥5,406,169 | ¥128,930,753 |
業績連動報酬の総額 | ¥12,246,121 | ¥66,838 | ¥35,673 | ¥12,348,632 |
株式報酬の総額 | ¥15,590,554 | ¥126,138 | ¥51,482 | ¥15,768,174 |
1人当たりの報酬総額 | ¥28,675,080 | ¥4,368,207 | ¥8,462,649 | ¥14,996,492 |
1人当たりの固定報酬 | ¥22,482,316 | ¥4,322,060 | ¥8,283,836 | ¥12,518,565 |
売上に対する報酬総額の割合 | 1.37% | 0.3% | 0.05% | 1.71% |
売上に対する固定報酬総額の割合 | 1.24% | 0.29% | 0.05% | 1.58% |
営業利益に対する報酬総額の割合 | 31.12% | 7.05% | 1.92% | 40.26% |
営業利益に対する固定報酬総額の割合 | 28.57% | 7.01% | 1.9% | 37.65% |
「サービス業」における役員報酬の構成比率データ
続いて、「サービス業」における上場企業の役職ごとの役員報酬の構成比率データを見ていきます。
構成要素としては「固定報酬」「株式連動報酬」「株式報酬」「退職慰労金等」「その他」となっています。
業績連動報酬・株式報酬の導入割合は一定程度の水準でしたが、報酬に占める割合はそれに比べるとやや低い水準となっています。

項目 | 固定報酬 | 業績連動報酬 | 株式報酬 | 退職慰労金等 | その他 |
---|---|---|---|---|---|
取締役 | 78.02% | 9.4% | 11.97% | 0.61% | 0% |
社外役員 | 98.91% | 0.3% | 0.57% | 0.22% | 0% |
監査役 監査等委員 | 98.03% | 0.65% | 0.93% | 0.39% | 0% |
全役職 | 81.65% | 7.82% | 9.99% | 0.55% | 0% |
役員報酬の傾向(小売業)
最後に「小売業」に焦点を当てて役員報酬の傾向を見ていきます。
「小売業」における役員報酬の平均データ
2024年「小売業」における役員報酬の平均データは全体で見ると下記の通りとなりました。
対象企業数は「314社」で、業績連動報酬の導入割合は「39.81%」、株式報酬の導入割合は「46.82%」となりました。
業歴・上場歴が長い企業が多い業種ということもあり、コーポレートガバナンス・コード対応の必要性も手伝って、業績連動報酬・株式報酬の導入割合はある程度高い水準となっています。
項目(全て平均値) | 取締役 | 社外役員 | 監査役 監査等委員 | 全役職 |
---|---|---|---|---|
報酬等の総額 | ¥136,799,866 | ¥22,564,038 | ¥7,452,134 | ¥166,816,038 |
固定報酬の総額 | ¥95,766,318 | ¥22,186,465 | ¥7,292,924 | ¥125,245,707 |
業績連動報酬の総額 | ¥19,985,557 | ¥110,936 | ¥67,755 | ¥20,164,248 |
株式報酬の総額 | ¥15,771,032 | ¥218,064 | ¥23,592 | ¥16,012,688 |
1人当たりの報酬総額 | ¥29,360,143 | ¥4,380,015 | ¥8,939,463 | ¥15,295,510 |
1人当たりの固定報酬 | ¥21,002,006 | ¥4,312,559 | ¥8,747,437 | ¥11,829,372 |
売上に対する報酬総額の割合 | 0.4% | 0.08% | 0.03% | 0.51% |
売上に対する固定報酬総額の割合 | 0.35% | 0.07% | 0.03% | 0.46% |
営業利益に対する報酬総額の割合 | 15.64% | 3.1% | 1.03% | 19.82% |
営業利益に対する固定報酬総額の割合 | 14.4% | 3.07% | 1.03% | 18.54% |
「小売業」における役員報酬の構成比率データ
「小売業」における上場企業の役職ごとの役員報酬の構成比率データを見ていきます。
構成要素としては「固定報酬」「株式連動報酬」「株式報酬」「退職慰労金等」「その他」となっています。
導入割合に比して、業績連動報酬・株式報酬の総額に占める割合はそこまで高くなっていません。小売業自体は利益や企業価値が急激に伸びるようなビジネスモデルではないのが一般的であるため、過剰出店などの過度なリスクテイクをしないよう変動報酬の割合はある程度抑えるのが適切と考える企業が多いのかもしれません。

項目 | 固定報酬 | 業績連動報酬 | 株式報酬 | 退職慰労金等 | その他 |
---|---|---|---|---|---|
取締役 | 70.21% | 14.65% | 11.56% | 3.5% | 0.08% |
社外役員 | 98.38% | 0.49% | 0.97% | 0.16% | 0% |
監査役 監査等委員 | 98.21% | 0.91% | 0.32% | 0.56% | 0% |
全役職 | 75.28% | 12.12% | 9.62% | 2.91% | 0.07% |
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本データベースは有価証券報告書等にて公開されているデータをもとに網羅的に作成しており、下記のような情報をご確認いただけます。
- 取締役・社外役員・監査役(監査等委員)の「報酬等の総額の平均」
- 取締役・社外役員・監査役(監査等委員)の「固定報酬・業績連動報酬の総額の平均」
- 取締役・社外役員・監査役(監査等委員)の「株式報酬の総額の平均」
- 取締役・社外役員・監査役(監査等委員)の「売上に対する報酬総額の割合」
- 取締役・社外役員・監査役(監査等委員)の「営業利益に対する報酬総額の割合」
- 報酬における構成比率データ
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