IPO

ショートレビューとは?目的や時期・流れや費用まで解説

この記事でわかること

  • IPOにおけるショートレビューの目的
  • IPOにおけるショートレビューを行う時期
  • IPOにおけるショートレビューの流れ
  • IPOにおけるショートレビューの費用
  • プレショートレビューのススメ

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O f All株式会社の編集局です。役員報酬・株式報酬制度・ストック・オプション・資本政策・IPOに関するノウハウを発信しています。

IPOを目指す企業にとって、上場準備の初期段階で自社の課題を明確にすることは重要です。そのために行われるのが「ショートレビュー」です。

 

これは、公認会計士による資料調査やヒアリングを通じて、上場のために必要な改善点を洗い出し、経営の健全化を図るプロセスです。一般的にIPOの3期前に実施され、監査契約締結の前提として位置付けられています。

 

本記事では、ショートレビューの目的や実施時期、具体的な流れに加え、近年の監査契約の状況や事前準備の重要性について解説します。ショートレビューを円滑に進め、IPO準備を円滑に進めるためのポイントを押さえていきましょう。

ショートレビューとは

ショートレビューは、IPOを検討する企業が上場に向けての課題を明らかにするために受ける調査のことをいいます。

ショートレビュー以外に、予備調査、短期調査とも言われます。具体的には、公認会計士による資料の調査やヒアリングによって上場のために必要な問題点を洗い出します。それを改善することによりIPOまでの改善の道しるべとするものです。

  • 企業が抱えるIPOに向けた問題点を明らかにできる
  • 現状の課題を踏まえた経営の改善につなげることができる


ショートレビューの目的として、IPOに向けた自社の課題を浮き彫りにすることがあります。専門的な資格を持った第三者である監査法人から監査を受けることで明らかになった問題点は妥当性が高いといえます。

このショートレビューによって抽出された企業が抱える現状の課題を解決していくことで、経営の改善につなげていくこともできます。ショートレビューによって、IPOのためだけではなく、客観的に自社の課題を捉えて、経営組織を磐石にしていくための施策を講じることも重要です。


ショートレビューが行われる時期

ショートレビューは一般的に、株式上場の3期前(N-3期)に行われます。

その理由は、IPOに際して「最近2年間の財務諸表等について、監査法人または公認会計士の監査等を受けていること」すなわち2期間分の監査法人との監査契約が必須となっているためです。

この監査契約締結にあたって必ず行われるのがこのショートレビューです。このショートレビューで大きな問題が発見されなかった場合、その後の監査契約に進めるのです。



ショートレビューの流れ


ショートレビューは、一般的に以下の流れで行われます。

  • 事前準備
  • 資料確認・ヒアリング
  • 報告書作成・報告会の実施

以下にて順々に解説していきます。


①事前準備

ショートレビューの前に、監査法人から確認対象となる管理体制関連資料の提出を求められます。

この時、すべての資料を提出し切ることができる企業数は多くありませんが、資料を提出しきれないということはショートレビューに必要な資料が出揃っていないということと同義になります。

そのため、監査法人への提出が必要な資料の種類については事前に把握しておき、可能な限り提出書類の種類を担保することに努めると良いでしょう。


②資料確認・ヒアリング

監査法人は、事前準備にて提出した資料を参考に会社の管理体制についてヒアリングを行います。ヒアリングは終日2~3日程度実施されます。

このヒアリングが行われる際、監査法人は不正を防止する内部監査システムを無効化することができる経営者自身が、切実に経営を行っているかを事前準備資料やヒアリング内容を元に判断を下します。

そのため、ヒアリング事項に精通した人物がヒアリング対象者を努めると良いでしょう。また経営者ヒアリング(2~3時間程度)も必須となりますので予定に組み込む必要があります。


③報告書作成・報告会の実施

監査法人は、実地調査した内容から問題点を特定し1か月程度で報告書として取りまとめます。

その後、監査法人から上場を検討する企業に対してショートレビューの結果を報告します。監査法人の繁忙期(4~5月、10~11月)を考慮する必要がありますが、ショートレビューの実施が決定してからショートレビュー~報告書作成~報告会実施まで4か月~半年程度はかかると見ておいてください。





ショートレビューにかかる費用

ショートレビューの費用は、現在の水準は最低でも250万円程度と考えておいてください。これは業種、企業の規模や調査の内容や範囲によって増額となる場合もあります。


現状、ショートレビューを受けるための留意点

前述した通りIPOには2期間の監査法人による監査証明(監査契約)は必須です。ところがこの監査契約締結にあたって現在では、大手監査法人をはじめとして中堅監査法人まで新規契約するための余力が無い状態が続いています。

これは金融庁が監査手続きの品質管理を高いレベルで要求していることと公認会計士の不足が要因です。これが「監査難民」と呼ばれる状況です。

そういった意味で現在のショートレビューの結果は、監査契約を締結してもらえるかどうかの試金石となっていることも事実です。つまり、監査法人はIPOの可能性が高い会社と監査契約を結ぶ傾向となっているのです。

そのためにショートレビューを受ける前に以下のポイントを再度確認することが必要となります。

  • 成長性のある精緻な事業計画書が作成されている
  • 社内管理体制がある程度整備されている(特に経理処理について重要な問題がない)
  • 未払残業代解消の見込みがある


特にIPOが実現可能な事業計画かどうかについては監査契約の大きな推進力になることが多く、その精度も実現可能な数字となっているかが検証されます。


IPOに向けた「プレショートレビュー」の勧め

現状では、一度、ショートレビューで悪い結果が出ると、数年は監査契約締結してもらえなくなります。場合によっては250万円がそのまま無駄な支出となる場合もあります。

そのためにもショートレビューを受ける前に監査契約をしてもらえる最低限の社内整備がされているか確認する「プレショートレビュー」実施は今の時代極めて重要であると言えます。
なおプレショートレビューは実施決定から2か月程度で完了します。その後の改善状況にもよりますが、実施時期はショートレビューが4か月~半年程度かかることを考慮に入れると遅くとも直前々々期(N-3期)の第1四半期までには完了することをお勧めします。


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また、IPOに向けた「簡易労務診断サービス」を無料で提供しております。
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